介護が必要な方に関わる中で、最も多いのが、
排泄についての悩みではないでしょうか?
介護が必要な方には、様々な理由で排泄に失敗したり、
トイレの使用自体が困難になり、
オムツの使用を余儀なくされる方が少なくありません。
在宅介護の場合は特に、排泄による衣類や室内・排泄物汚れの
後始末も含めて介護者への大きな負担となります。
それに加えて、オムツをいじってしまうことで汚れる範囲が広がったり、
着替えやシーツ交換の手間などが増えれば、
さらなる負担が増えてしまいますよね。
ここではなぜオムツいじりが起きるのかを考え、
対策もご紹介します。
なぜオムツをいじるの?
トイレでの排泄が難しくなってしまう理由はいくつかありますが、
その中でも筋力の低下は最も多いパターンです。
尿意便意を感じることが出来ても、トイレまで移動したり、
トイレで衣類を下ろしたり、
便座に座るために立ったり座ったりすることが出来なければ、
トイレでの排泄は困難になります。
特に在宅介護の場合、トイレまでの移動に車椅子が通れるスペースが無かったり、
適切な位置・形の手すりが無い場合もあるため、
施設や病院よりもさらにトイレでの排泄が困難になりやすい環境と言えます。
その他の理由としては、排泄自体の認識が困難になるパターンがあります。
尿意便意を感じることができない、もしくは尿意便意を感じていても、
それがトイレと結びつかなかったり、トイレを見てもトイレと認識できないなど、
主に認知症の症状がある方によくあるパターンです。
オムツいじりが発生するのは後者のパターンで、
オムツを使用することになった場合が多いでしょう。
オムツいじりの多くは、オムツというものを理解できず、
かつ不快感や違和感を感じてオムツを取り除こうとするだけの
身体能力があるために起こります。
つまり不快感や違和感をいかに感じさせないかが、
オムツいじりを無くすポイントになります。
オムツの不快感とは?
おむつの不快感と言えば、
排泄後のオムツを着用し続けることが挙げられます。
オムツメーカーの技術は日々進化しており、
最近のオムツは、どのメーカーのものも性能の良いものが多いです。
しかしながら、排尿排便の前と後では、
やはり違いが出てしまうものです。
おむついじりの原因(失敗している場合)
すでに失敗していると、
濡れている感覚・蒸れている感覚、
便の場合は形状にもよりますが、
異物感もあります。
オムツいじりをした後のオムツやパットに、
しっかりと尿が吸収されていたり、
排便で汚れている場合は、このパターンだと推測できます。
排泄後のオムツの不快感と、
「自分はトイレに行くことが難しいためオムツを使用している」
という認識がつながらなければ、
当然人間は不快感を取り除こうとします。
この点を解決するためには、
排泄パターンを出来るだけ正確に把握することが必要になります。
排泄があった時間を記録しておくと、
何時間くらいの間隔で排泄があるかを、
ある程度把握できるようになります。
排泄後からオムツ交換までの時間が出来る限り短くできれば、
不快感を感じる時間を短くでき、
オムツいじりを予防できる可能性が高まります。
おむついじりの原因(尿意・便意がある場合)
オムツいじりをした後のオムツやパットが汚れていない場合は、
尿意便意があり、衣類を脱いで排泄しようとしていた可能性があります。
尿意便意は感じられるにも関わらず、
『適切な場所で排泄する』ということが理解できないと、
このようなことが起こることがあります。
その場合もやはり排泄パターンを記録し、
何時間くらいの間隔で排泄があるかを把握し、
その時間に合わせて介入することでオムツいじりを防げることもあります。
少しだけなら立ち上がることができるのであれば、
ベッドサイドに設置することができるポータブルトイレを使用したり、
立ち上がりが難しければ、尿器や便器を使用することも検討すると良いでしょう。
在宅介護であれば、
ポータブルトイレ購入をできないか
ケアマネジャーに相談することができます。
おむついじりの原因(時々失敗する場合)
オムツいじりをした後のオムツやパットが、
汚れていることもあれば、汚れていないこともある場合や、
排泄パターンやオムツいじりをするタイミングが掴めないという場合は、
オムツの使用方法を見直してみましょう。
『漏れたら大変』『いじらないように頑丈に』などの気持ちから、
不適切なオムツの使用方法になっている場合があります。
何枚もパットを重ねたり、サイズの合っていないオムツを使用したりすると、
排泄物の有無に関わらずオムツ着用自体に違和感が生まれてしまい、
オムツいじりにつながってしまうことがあります。
オムツは基本的に、オムツ1枚もしくは、
オムツ1枚にパット1枚を併用して使用するものです。
オムツの中に何枚もパットを重ねたり、
男性の陰茎にパットを巻き付ける使用方法は、
違和感を生むだけでなく、
皮膚トラブルに発展することもあります。
適切な使用方法で漏れてしまうようであれば、
サイズやオムツの当て方を見直してみましょう。
漏れてしまうからといって大きめのサイズにすると、
鼠径部(足の付け根)や背中に隙間が出来てしまいます。
また、オムツのマジックテープ部分の止める方向や、
腰骨との位置関係が体型にあっているか見直すことで、
漏れを防ぐことができる場合もあります。
オムツのパッケージには、適切な当て方が書いてあることがほとんどです。
また、各メーカーが当て方のコツを、
動画サイトなどで公開していたり、
ホームページで解説していたりすることも多いため、
参考にしてみると良いでしょう。
まとめ
オムツいじりは介護者にとって、
やって欲しくない困った出来事ですが、
要介護者本人からのSOSでもあります。
「気持ち悪い」「助けてほしい」と言えない方がなんとか行動した結果、
介護者の負担が増えてしまう悲しい出来事でもあります。
適切なオムツ類の使用、継続した記録をつける、
記録を基に介入頻度や時刻を見直すというポイントを
押さえて頂くことで、
少しでもこのような悲しい出来事が減ることを願います。